6月のAI相場を超える大相場が来る――2027年に向けて始まる「第2次AI相場」
今年のAI関連株の動きを見ていると、どうしても気になることがある。
それは、
「6月までのAI相場は、本当に今回のAIブームのピークだったのか?」
ということだ。
結論から言えば、私はそうは考えていない。
むしろ現在は、AI相場の第1段階が終わり、2027年に向けた第2段階の巨大な投資サイクルに入ろうとしているのではないかと考えている。
その理由は、AIをめぐる世界の経営者たちの発言と、実際の設備投資計画を合わせて見ると、AIへの資金投入がまだ減速するどころか、さらに大型化しているからだ。
NVIDIAフアンCEOが示す「AI需要の異常な強さ」
その中心にいるのがNVIDIAのジェンスン・フアンCEOである。
NVIDIAは現在、単なる半導体メーカーではない。
AIモデルを動かすGPU、ネットワーク、CPU、ソフトウェア、そしてAIデータセンター全体を支える巨大なインフラ企業になりつつある。
そしてフアン氏は、AI市場について極めて強気の見方を示している。
2026年8月には、NVIDIAは次の会計年度の売上高について前年比70%増という非常に強い見通しを示した。しかもデータセンター部門の四半期売上高は890億ドルにまで拡大している。
さらにフアン氏は、AI市場そのものが2030年までに3兆~4兆ドル規模に達するとの見方を示している。
つまり、
「AI投資はもう終わった」
というより、
「これからAIインフラを世界中に作る段階に入った」
と考えた方が自然なのである。
イーロン・マスク氏が指摘する「電力」という新しいAI需要
ここで非常に重要なのが、AI相場を見る視点の変化だ。
これまでは、
「GPUが売れる」
「AIサーバーが売れる」
「AIソフトが伸びる」
という話が中心だった。
しかし2027年に向けては、それだけではない。
AIデータセンターには膨大な電力が必要になる。
そして電力、送電網、変圧器、冷却設備、光ファイバー、通信機器、データセンター建設など、AI投資の裾野が一気に広がっている。
実際、2027年のAI向け電力需要については大幅な供給不足が発生する可能性も指摘されている。米国のデータセンター電力需要についても、2025年の約31GWから2027年には66GWへ拡大するとの予測が紹介されている。
つまりAI相場は、
NVIDIAだけを見る相場から、電力・電線・データセンター・冷却・通信まで含めた「AIインフラ相場」へ進化する可能性がある。
ここが、今年6月までの相場との大きな違いになる。
孫正義氏の視線は「AIの次」に向かっている
そして、もう一人見逃せない人物がソフトバンクグループの孫正義氏である。
孫氏はAIを単なる便利なソフトウェアとして見ていない。
AIはやがて「スーパーインテリジェンス」へ進化し、世界経済そのものを変えるという非常に大きなビジョンを持っている。
ソフトバンクもAI、データセンター、ロボティクスなどに巨額の資金を投入している。
これは非常に重要だ。
なぜなら、NVIDIA、Microsoft、Amazon、Google、Meta、OpenAI、SoftBankなど、世界の巨大企業が同じ方向に資本を動かしているからだ。
一社だけがAIに賭けているのではない。
世界の企業が一斉にAIインフラを建設している。
この流れが2027年まで続くなら、株式市場がそれを織り込み始めた時、AI関連株の上昇は再び非常に大きなものになる可能性がある。
「AI 2027」という予測も示すもの
さらに興味深いのが、AIの進歩を2027年まで時間軸を置いて分析する予測である。
「AI 2027」では、2026年後半から2027年にかけて、AI企業が自前のデータセンターを建設する可能性など、AI計算資源の巨大化が想定されている。
もちろん、こうしたシナリオは未来予測であり、その通りになる保証はない。
しかし重要なのは、
「AIの進化を2026年で終わる話として考えていない」
という点だ。
むしろ2027年に向けて、AIの性能向上、データセンター増設、半導体需要、電力需要が同時進行する可能性がある。
だから「6月高値超え」を考える
今年6月までのAI相場が大きかったことは間違いない。
しかし株式市場では、巨大なテーマの相場にはしばしば、
第1波 → 調整 → 第2波
という動きが起こる。
第1波では「AIは凄い」という期待で株価が上昇する。
そして一度、期待が株価に織り込まれる。
ところが、その後に企業業績、設備投資、受注、実際のキャッシュフローが追いついてくると、再び株価が上昇を始める。
今回のAI相場がこのパターンだとすれば、今年6月の高値は「最終局面」ではなく、第1段階のピークだった可能性がある。
そして2026年後半から2027年にかけて、
AI半導体
↓
AIサーバー
↓
データセンター
↓
電力
↓
送電網・電線
↓
冷却
↓
通信
↓
ロボット・AIエージェント
へと物色が広がっていけば、相場の裾野は6月までよりはるかに広くなる。
これこそが、次のAI大相場を考えるうえで重要なポイントだ。
最大のポイントは「AI投資が終わるか」ではない
もちろんリスクもある。
AI企業の設備投資が大きくなりすぎれば、投資対効果への疑問が出てくる。
AI関連株のバリュエーションも決して安くはない。
また、AIの安全性や規制についても議論が強まっている。実際、9月にはAnthropicのダリオ・アモデイCEOがAI開発の速度を落とし、安全対策を強化すべきだと提言し、イーロン・マスク氏らも支持している。
したがって、一直線の上昇を予想するべきではない。
むしろ大きな調整を何度も挟みながら、AI関連株の主役が入れ替わっていく相場になる可能性が高い。
それでも注目したいのは、
AIへの世界の設備投資そのものが縮小しているのか?
という一点である。
現時点の答えは、むしろ逆だ。
NVIDIAの業績見通し、データセンター投資、電力需要、孫正義氏のAI戦略などを見る限り、AI投資はまだ巨大化の途中にある。
2027年、AI相場は「第2章」に入るのか
私は、2026年6月のAI相場を一つのピークとして見るよりも、
「AI相場の第1章」
として見る方が面白いと思っている。
そしてこれから始まるのが、
「AIインフラの第2章」
である。
GPUだけではない。
電力、電線、データセンター、冷却、通信、半導体製造装置、光通信、ロボット――。
AIが社会の基盤になればなるほど、恩恵を受ける企業の数は増えていく。
もしNVIDIA、イーロン・マスク、孫正義氏らが描くAIの未来が現実のものとなり、2027年に向けてAIへの設備投資がさらに拡大するなら、
「今年6月の高値を超えるAI関連株の大相場」
は十分に想定しておく価値がある。
もちろん、これは確定した未来ではない。
しかし株式市場で大切なのは、過去の高値を見ることだけではない。
企業がこれから何兆ドルを投資しようとしているのか。
そこを見ることで、次の相場の大きさが見えてくる。
そして今、世界で最も巨額の資金が向かっているテーマの一つが、間違いなくAIなのである。
2026年6月のAI相場は、終わりではない。
2027年に向けた「次のAI大相場」の始まりだった――。
そんなシナリオを、今のうちから考えておきたい。
